「こんなところで、どうしたの」
珍しく、鯖人が正論を言った瞬間であった。彼が登場時の突風で巻き上げた海水が、りんねに頭から襲いかかっていることに目を瞑れば、だが。
「……おやじには関係ないだろ」
「いやぁ…さすがに目の前で自殺行為じみたことをやってる息子がいるのに関係ないって言うパパはいないんじゃない?」
「お前なら言うだろ、というか半分くらいは急に現われたお前のせいだろうが!」
今すぐにでも殴りたいところだったが、生憎と絶妙に間合いを取られていた。構うだけ時間の無駄だと切り替えて、またざぶざぶと海を掻き分けていく。
「……まさかとは思うけど女の子が沈んじゃったりしたの? なら隠蔽するから早く上がった方が良い。そんなところにずっといたら風邪引いちゃうよ?」
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