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    ひらい

    供養とか練習とか諸々置き場

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    ひらい

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    鯖りんのお話は
    「こんなところで、どうしたの」という台詞で始まり「銀色の指輪が朝日を反射して眩しかった」で終わります。
    #こんなお話いかがですか #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/804548
    ※鯖→りん CP要素薄め

    7/1 以前はまとめていたのですが分けました。

    ##鯖りん

    「こんなところで、どうしたの」
     珍しく、鯖人が正論を言った瞬間であった。彼が登場時の突風で巻き上げた海水が、りんねに頭から襲いかかっていることに目を瞑れば、だが。
    「……おやじには関係ないだろ」
    「いやぁ…さすがに目の前で自殺行為じみたことをやってる息子がいるのに関係ないって言うパパはいないんじゃない?」
    「お前なら言うだろ、というか半分くらいは急に現われたお前のせいだろうが!」
     今すぐにでも殴りたいところだったが、生憎と絶妙に間合いを取られていた。構うだけ時間の無駄だと切り替えて、またざぶざぶと海を掻き分けていく。
    「……まさかとは思うけど女の子が沈んじゃったりしたの? なら隠蔽するから早く上がった方が良い。そんなところにずっといたら風邪引いちゃうよ?」
    「お前じゃ無いんだからそんなことはしなっくしゅん!」
     状況をおさらいしよう。季節は秋、時間は夜、場所は海である。そんな寒空の元、Tシャツ一枚で海に浸かっているのが六道りんね。……普通に考えて自殺行為以外の何物でもない。一般人に見られたら速攻通報されるだろうし、鯖人だって、これでいて結構本気で心配している。
    「言わんこっちゃない……。こんなところで倒れたら死んじゃうよ。死神も人間も関係なく」
    「うるさい。お前には関係ない。とっとと帰れもしくは命数管理局に自首でもしにいけ」
     言っている内容に反して、声は若干震えている。暗くてよく見えないが、手も顔も不健康な色だった。どうせ裸足だろう足も、きっと無事ではないはずだ。
    「何探してるの」
    「……指輪。銀色の。そこら辺の若者向けの店で買った奴だから金にはならんぞ」
     盗むと思ったから言わなかったんだ、等と言っているが、鯖人とてさすがにそこまで悪党では無い、はずだ。多分。
     それが依頼人関連なのか、あの三つ編みの少女に貰った物なのかを聞く気にはなれなかった、から、にこりと微笑んでりんねを担ぎ上げる。
    「分かった。探してあげるからりんねはこれで終わり、大人しく寝なさい」
     反論する暇すら与えずに雑に気絶させ、霊道経由でカンパニーに放り込む。丁度美人がいたので、「適当に着替えさせてからぼくの部屋に寝かしといて」と頼んでおいた。
     
     翌朝、鯖人の部屋で気絶――ではなく眠っていたりんね(案の定風邪は引いた)を叩き起こす声があった。霊道を通って声の聞こえる方へ行ってみれば、声の主は何やら光る物を掲げている。
    「りんね、これで合ってるか?」
    「合っているが……お前、これは働いたことにならないのか?」
    「え~? あの後近くで仕事してた社員たち呼び出して総ざらいさせただけで、ぼくは何もやってないし~?」
     夜には無かったクマに、びしょ濡れの髪と肌、雑に社員から引っ剥がしたのだろうサイズの合っていないTシャツとズボン姿でそれを言われても説得力は無い、が、下手に追求して面倒なことになってはたまらないので"そういうこと"としておくことにする。
    「……感謝する……」
     自分でも聞き取れるか怪しいくらいの声量だったが、地獄耳なのか何なのか、目の前の男には聞こえていたらしい。一瞬だけ、鯖人らしくない――まるで世間一般の暖かな父親のような――眼をした物だから、つい瞠目してしまった。

    「はい、どうぞ。落とし主には、落とさない自信がないなら海に持って行かないようにって伝えておいた方がいいよ」
     
     特に渋られることも無く普通に手渡された銀色の指輪が、朝日を反射して眩しかった。
    (24/06/23)
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    Replies from the creator

    ひらい

    DOODLEれんげの友達になれたかもしれなかった少女の話。
    100%捏造。
    若干文章の繋がりが雑だけど読めるはず……。

    この彼女は、あくまでもれんげの思考への最後の一打にはなったし、友人になれるかもしれなかったという点で大事な思い出でもあったけれど、割り切った以上、もう思い出すことはない。
     霊の視える少女に打算込みで声を掛ける、ずっと前のこと。心から友人になれるかもしれないと思えた少女がいた。

     堕魔死神高校に入学して、何をすれば良いのだろう、と疑問に思っていたのも数日の話。現世の高校に行って男子生徒の魂を集めるように指示が与えられるまで、そう長くはなかった。
     命じられたのは、男子の魂を根こそぎ奪うだけの簡単な仕事。自分の顔が整っていることは紛うことなき事実であるし、それを利用するだけでタダで仕事がこなせて学習の機会も得られるのならば、それを断る理由なんてない。カンパニー本社に籠ってくだらない世間話に興じている同級生を横目に、単身現世に発った。

     やり口がやり口であったので、当然女子には疎まれて、友人の一人もできやしなかったけれど、図書室も自習室も無料で好きなだけ使えるのだから、プラマイゼロどころか大幅にプラス寄りである。
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    ひらい

    DOODLE乙を失ったから生きる理由はないけど、死にたい訳ではないし実際死ねない鯖人の話。
    書きたいところだけ書いたので時系列がすぐ飛ぶ。
    生死観諸々100%捏造。
    希死念慮は含みませんが、OD自傷行為心中未遂(相手死亡)を含みます。
    病んでるって括りたくないけど多分病んでる。
    CP要素は前提鯖乙のみ
    地獄はまだ遠い 元から、生命の意味だとかそういったものに深い意味を見出すタチではなかったけれど、彼女に対して抱くこの思いは、きっと生きる理由というものになるのだろうと、それくらいは人並みに思っていたのだ。
     だって、彼女との出会いは運命で。適当にしていても何不自由なく暮らせる程度には家庭に恵まれていた為に、ただ呑気に暮らしていた自分が、ようやっと世間一般で言うところのまともな仕事、だとかそういった類の方向性に向かおうと思えるくらい、鯖人の人生は彼女の存在で変わったのだ。
     けれど、これからという折に、彼女は一切の理由を告げることなく姿を消してしまって、自分の殊勝な心掛けは、瞬く間に三途の川に流された。

     なぜだか写真も全てが失われていたから、彼女の存在を証明するものなんて、忘れ形見の息子と、自分と両親の記憶だけ。河原で見つけた履き物や、着用していた衣服は、彼女の遺品と言えるだろうけれど、それは存在証明には繋がらない。せめて、ライセンスでもあれば、顔写真が残っていたのにと思ったけれど、それを質に入れたのはまごうことなき自分自身だ。生まれて初めて、質に入れなければ良かった、だなんて後悔を抱いた。
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