きみにささやかな贈り物を「これ、女の人向けのものじゃないですか?」
「その通りだけどね。料理をするきみになら指輪よりもこちらの方が良いと思ってね。そう高価なものでは無いから受け取って欲しいな。」
間接照明が照らす洒落た喫茶店二階の年季の入ったウォールナットの机の上、高級感のある箱の中に、華奢なピンクゴールドのチェーンの真ん中にきらきらと煌めく小粒の石が光るネックレスが収められていた。高価なものでは無い、というのは嘘では無さそうだが、あくまで浄が身に付けているいかにも高級そうなスーツや眼鏡などに比べればの話だろう。恐らくデパートのカウンターで売られているもの、それだけで紫苑にとっては十分高級品だ。
「ふと入った店で店員のレディが成人のお祝いなどに贈るようなシリーズだと説明してくれてね、きみの顔が浮かんだんだ。もうすぐ誕生日なんだろう?」
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