それは週末の昼下がり。今日は朝から万次郎、場地、春千夜、そして武道が珍しく花垣家に集まっていた。
「そろそろ腹減りましたねー。メシ食ってく人手ぇ挙げてー!」
そう武道が問い掛けると、元気な幼馴染たちは揃って歓声をあげた。
春千夜もまた、帰宅してもあの兄のもとではまともな昼食など望めないがゆえに、無言で手を挙げている。
ぱたぱたと軽い足音を立てて去っていく武道の背中を見送りながら、「昼飯なんだろーな」「オレたい焼きがいい」「それメシじゃねーだろ! オレはペヤングがいい」「家で食えよ」とそれぞれ好き勝手に話す幼馴染たち。
それに対して、春千夜はぼんやりと。
手で食べられるものならいいな、と思っていた。
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