優しくしないで +おまけ※今更ですが、原作相当のバイオレンス要素は含まれます
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優しくしないで
「んひぃい……私もぉダメかも知んない……」
「今日は全滅でしたね……今日もか」
胴体部分をきれいにスパッと分かたれた歌用短冊が散乱する部屋で、芭蕉は座卓に突っ伏していた。
横では、短冊のバラバラ死体を切れ味の良すぎる手刀で次々と作り出した張本人である曽良が、こともなげに茶をすすっている。
長引くスランプ解消のため、今日は宿に篭って強化合宿だ!と息巻いた芭蕉だったが、結果は短冊の屍の山に終わった。何の成果も得られないまま既に夕方時になり、宿の部屋の壁が窓から差し込む茜色に染まっていた。
「もう駄目だ……作れるビジョンが見えない……俳聖マツオの時代もホントに終わりかも」
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