🐺過去話ベルカに帰還する旅客機の中でシルファは微睡んでいた。抱きしめられて目を開くと不安そうな顔の両親。武装した男が通路に立っている。もといハイジャック犯が高らかに何やら宣言した次には銃声と悲鳴が機内を支配する。最期に一発が響いた。
静寂こそ戻ってきたが、そこは多くのものが血と涙を流すだけの地獄に成り果てていた。
この機体はどこへ向かっているのだろうか。窓からの景色では木々が並んでいる。もう地上が近い。
目覚めたシルファは記憶を失っていた。今までの人生を、両親のこと、飛行機に乗っていてそれがハイジャックに遭った事も何もかも。だから、自分を庇って死んだ両親に怯え、駆け出していた。自然の深い方へ。そして、認知が乖離する。両親や乗客らの死体に怯えたシルファは人であることを放棄してしまった。記憶も、人間性も棄て子供はこれから暫くを野で生きる事になる。
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