痛くて青くて眩しい 組んだ右脚の膝頭が長机にがつんとぶつかり、HiMERUは人知れず眉を顰めた。今日ここに座ってから脚を組み直すのは実に四度目だ。
「ふがっ」
「……」
机が揺れた拍子に居眠りから覚醒したらしい隣の男、天城燐音。枕代わりの腕に押し付けていた頬が赤い。冷ややかに一瞥をくれてやると何が可笑しいのか、奴はくっくっと喉を鳴らした。
「んっふふ、長いおみ足をお持ちで」
「──馬鹿にしているのですか?」
「結構痛かったっしょさっきの」
「うるさいですよ」
頭を持ち上げた天城は眠たそうな碧い瞳をしばし泳がせ、状況を把握しようとしているようだった。
HiMERUは天城と違ってずっと起きていた。よってこの男よりもよっぽど現状が分かっている。そろそろ教壇(ここはESの会議室なのでそんなものは無いのだけれど、蓮巳と七種が前に並んでいるとそう見えてくる)に立っている彼らの視線が痛いし、助け舟を出してやるとするか。
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