ヒュプノスの贈り物「ふふ」
「どうしたんですか?」
「秀が二人、重なって見えてきた。ふは、っふ……おかしい……」
「じゃあもう寝ないと。効くの30分間なんでしょ?」
「ああ、じゃあおやすみ」
「おやすみなさい」
そう言って俺はLINKのビデオ通話を切った。寝る前の格好ですよなんて言っていたが、本当はちょっと髪にもブラシを当てて小綺麗にしている。それを俺はわしゃわしゃと崩してからベッドに登って、部屋の電気を落とし、目を瞑った。
鋭心先輩が何かを抱えていて、それを乗り越えるために色んなものの力を借りている。そんなことは伊達にユニットリーダーをやっているわけじゃないから、薄々察してはいた。でもそれが確信に変わったのは、鋭心先輩のカバンからはみ出たものを偶然見つけてしまったからだった。
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