タイトル未定 二人の男が机に向かっている。
一人は羽根ペンで、もう一人はパソコンで執筆作業に勤しんでいるところだ。ピリピリと張り詰めた緊張感と殺気が漂う中でカリカリ、カタカタと異なる音が重なり合って不思議なリズムを生み出している。
ここが戦場であれば加勢ができるのだが、残念ながら創作活動は専門外だ。とりあえず仁王立ちで腕を組みながら、作家たちを監視することにした。
そうして三時間が経過したところで、アンデルセンが口を開く。
「おい、そこのニンジンライダー。一体いつまでここにいるんだ?むさ苦しくてかなわん。とっとと出ていけ」
「誰がニンジンだ。読者が新作を待ってんだからさっさと書けよ」
「ふん。どうせあの女狩人が絡んでいるな?子供たちの笑顔のために…とか言われて、それで俺がひとっ走りして新作を持ってくると口走ったんだろう、この馬鹿め!」
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