【ロイの過去】
ロイは捨て子だった
生まれた時から感情と呼べるものがなにひとつ
なかったことから親に気味悪がられた
捨てられたロイを拾ってくれたのは『詩色』と名乗る
ふたりの大人だった
名前のなかった彼に大人は名前をくれた
生きるために必要なもの全てを与えてくれた
感情は何もなかったが、心が暖かい気がした
約10年後、ふたりがいなくなった
自殺だった
ふたりには子どもがいた
子どもを孤児院に送ったことをずっと後悔していた
薬を飲んで心中した
ロイにはそれが分からなかった
また、ひとりぼっちになった
とある科学者に目をつけられた
体を改造された
感情も、記憶も、なにもかも捨てた
科学者にもただひとつだけ、
『お母さんとお父さんに会いたい』という
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