昼下がり、夕飯のおかずを釣りに出かけようとした時のこと。水車小屋の前で、ばったりと友人に出くわした。なかなかの量の荷物を背負っている。夜逃げでもする気か、と、ちょっと冷や汗をかきそうになり、しかし、それはすぐに杞憂だとわかった。
「なあ、温泉行こうぜ」
挨拶もそこそこに、そいつはそう誘ってきたからだ。ものすごくほっとしたのを気付かれないように、返事をする。
「なんだ、珍しいな。別に良いけど。これから?」
「その方が嬉しいな」
行くのは別に問題ない。聞けば、双子が二人で教官と一緒に訓練に出て、しばらく戻らないのだという。なるほど。一人が寂しいって訳だ。
「ついでに酒持っていってさ、温泉に浸かりながら月見酒……っての、どうよ」
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