クリスマスパーエル 幾つの季節が巡ろうと夜はただ闇の帳を下ろすのみだ。しかし、暗闇に白い結晶が舞う様は、見る者に身体の芯から冷えるような寒さを感じさせた。クリスマスの気配が近づく時季だった。
付き合い始めて最初のクリスマスだ。そろそろ予定を立てようと考えたパーシヴァルは恋人の部屋を訪れていた。夜も更けた時間だったが、エルモートは耳を立てて――これは嬉しい時の彼の癖だ――迎えてくれた。
しかし、パーシヴァルの話を聞いたエルモートは肩を竦めた。
「聖夜ってのは家族で過ごすもんなんだろォ。ちゃんと実家に帰ってアニキに顔見せて来いよ」
そう言って、ソファ代わりのベッドで隣に座っている相手の肩を叩く。
パーシヴァルは眉をひそめた。物分かりの良いことを言っているが、その実クリスマスを疎んじているゆえの言葉なのではないかと脳裏を過る。もし、自ら日陰に隠れずにはいられないような気持ちでいるのであれば、到底それを放っておけるはずがない。
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