質問「なあ、先公、あんたツバサとはどういう関係なんだ?」
「ショウくん、俺ァ教科書の二章目を読んでみろっつったんだぜ」
エルモートは首を傾げてショウを見下ろした。教壇に椅子を持ってきて腰かけている姿勢だが、ショウもまた自席で椅子に座っているので視線はエルモートのほうが上にある。
ショウの補習を行っている落第学級の教室にはほかに誰もいない。遠くからは人の声も聞こえてくるが、教室を覗くのは赤い夕日だけだった。
「いくら教師が生徒を守るったって、あそこまではやらないだろう。Ah……、例えば、ツバサの親類があんたの恩人だったりするのかい?」
ツバサが退学処分から免れるためにエルモートが尽力したことを訝しんでいるらしい。
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