『練習』 蒼空に爽やかな風が吹き抜けていく。まさに青空教室にうってつけの日和である。グランサイファーが立ち寄った島の野原で、マナリア魔法学院からの留学生たちを相手にスフラマールが教鞭を取っていた。
落第学級の元担任教師であるエルモートは口を挟みつつ授業を見守っていたのだが――。
「貴方は魔力の制御が得意だったわよね? アドバイスできないかしら?」
スフラマールに告げられた言葉にエルモートは頬を掻いた。熱心な教育者である彼女の提案を断るすべは持ち合わせていない。
「しょうがねェなァ……」
エルモートは諦めると、ツバサ達の傍にしゃがんで彼らが握る杖を見つめる。
ツバサは隣に並んだ横顔に見入り、はっとして顔を逸らした。横目にタイガ達を確認するが、彼らは割り込んできた元担任の言葉を待ってエルモートに注目している。
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