『…まって!!まってよ…ぼくを、ひとりにしないで…』
『やめてくれ…もう、ぼくは…』
『ごめんなさい…ぼくさえいなければ』
鳥のさえずり、ため息と共にまた夢から覚める。
濡れた瞼を開ける。無意識の涙ほど虚しいものはない。
狂おしいほど思い残す、遠い日の、小さい頃の無力さを呪う。
身を焼かれるような絶望も、いつか何かの糧にはなるのだろうか。
その時の憧れに、焦がれるまま仕舞い込んでいる。
「アベンチュリン総監!?どうしたのですか!?まだ休養中では…」
「やぁ、お疲れ様。んー…そうなんだけどね。君たちが必死に働いてくれてるのに僕だけ家で寝てるってのも飽きちゃって」
ヘラヘラとした笑顔。得意な笑顔。
まだ腹部の傷は痛むけれど、独りでいるよりマシなんだ。
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