春、霞あける頃春は曙、とは誰が謳ったものだっただろうか。
温かくなり始めた時節、用事があって故郷の地を踏んだ折に妹分が可愛い耳をピコンと振って小金通りで見つけた菓子。
餡を桃色に染めた生地で包み、それを塩漬けした桜の葉で化粧されたこの時期だけの其れ、桜餅をみて、八重歯ののぞく可愛い唇がこういった。
「お花見しよう!?」
ギムリトより帰還してこっち、皆で何かするこ機会も増えた我が家の面々。
花見は大人数でやったほうが楽しいだろうということで声を掛ければ意外とすんなり全員集まることに成功したわけで。
「お弁当はモモさんと僕で作りました。楽しみにしててくださいね!」
「モモ、おめぇ何作ったんだ?」
「和食よ。貴方の苦手なね?」
「……味遠いんだよなァ」
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