撃鉄 コンコン、と扉を叩く音がした。
試験管が何本も立ち並ぶデスクの前に座り、コースティックは独り黙々と研究結果をパッドに書き込んでいた。本来なら紙に書き、その結果を部屋の壁に貼り付けて経過を眺めていたいが、エアシップの構造上、個人に充てがわれた部屋は決して広くない。それでも研究を続けるには、さして問題は無かった。
コンコン、と扉を叩く音がした。
コースティックはようやく走らせていたペンを止め、扉の方へ視線を移した。どうやらこちらに向かってノックしているらしい。
空耳だろう。コースティックは再び研究に取り掛かった。
……… ………。
バンバンバン!!
「……… ………」
残念ながら幻聴ではない。ようやく確信したのは、扉を叩く音が最早壁に穴を開けるような粗暴な音に変わってからだった。
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