特別なお菓子とお節介な妖精すんすんと鼻を鳴らす音が哀しげで、ネアは思わず胸の前でぎゅっと手を握る。
慌てて首飾りの金庫から取り出したのは、いつかのときにと取っておいた、やけくそで作ったのかなという大きさのスブリソローナだ。
「ゼノ、クッキーを食べますか?」
「……いいの?」
もはや顔を合わせる度に当然の如くクッキーをもらえると思っているゼノーシュでも極大スブリソローナの特別さに躊躇したのか、涙で濡れた檸檬色の瞳に困惑と期待が見える。ネアはひとつ凛々しく頷いてやり、クッキーモンスターの小さな手にそっとスブリソローナを手渡した。
「大事なお友達が元気になってくれるのならお安い先行投資なのです。ジッタさんの親戚がお作りになったものなので、味も格別ですよ!」
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