君の眩しさがただ一つのヒカリ(冒頭) 普通の人と違うというのはこの世の中を生きていくにはとても不便だ。
それが落ちこぼれだろうが、浮きこぼれだろうが、横にズレていようが。はみ出しているものに世間は酷く冷かかだ。まるで最初から存在しないものかのように扱われ、トカゲの尻尾よりもアッサリと切り捨てられる。そうならないように必死に量産型に合わせてみた所で、結局フラストレーションの塊になって今度は自分が壊れてしまう。
『君の眩しさがただ一つのヒカリ』
「あれ?今の、オレ声に出してましたっけ?」
外は酷い雨模様、まだ日が落ちる時間ではないけれど外はずっしりと雲が積み上がって薄暗い。激しく打ち付ける雨にガタガタと揺れる窓。目を向ければ、奥に立ち並んでいるはずの団地の棟が霞んで見えた。
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