タイトル未定(前編)/ガスウィルその日、青い星が落ちてきた。拾ってほしそうにあたりをふよふよと漂うものだから、気分がのって手を差し出した。コロンとした、端が尖った花びらのようなものが五枚。花の形をしたその星は、パキンッと音を立てて手のひらの上で星屑となった。何もしていないのに風が吹いた。ふわっと星色が藍の空に散らばっていく。
どうやら手紙だったらしい。どういう原理か分からないものの、投影機のように文字が宙に浮かび上がって、疑いもせずに手紙を読んだ。
その手紙には、こんなことが書いてある。
親愛なるガスト・アドラー様
いきなりのことで驚いているかもしれないが、どうか落ち着いて聞いてほしい。俺は、三十歳のお前だ。ガスト・アドラー、変わらずエリオスでヒーローをしている。
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