下等吸血鬼「海」別称「ソラリス」気がつくと見知らぬ場所にいた。
薄暗く酷く湿っている。
不意に気配を感じ目を向けるとそこにはドラルクが立っていた。ドラルクは一瞬目を見開き、憤慨した様に俺を睨みつけた。
「私の記憶を覗いたな?」
「はぁ?」
意味が解らない。そんなもの覗けるか俺は人間だぞ。
そう言おうと思ったが、どうにもおかしくてつい黙り込んでしまった。
記憶より幾らか老けた様に見える。
それにドラルクは俺を睨んでいるが、その怒りは何か違うものに向けられた様に見えた。
「何に怒ってるんだよ…俺、何か悪い事した?」
「ああしたとも。と言っても君には解らないだろうがね。」
ドラルクは深いため息を吐いて、不快を隠さないままに話し始めた。
「君は本物のロナルド君じゃない。」
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