一緒にお昼を食べる話昼下がりのランチ時。
お馴染みのファミレス、日当たりの良い窓側の席で、私たちは食事を取ろうとしていた。
「カイコは何にする?」
目の前に座る赤髪の男性は、そう言って私に微笑んだ。
「うーん……どうしよう?お兄ちゃんが先に決めて」
見ていたメニュー表を手渡す。
そっかと呟いて、私の兄、アカイトはメニュー表に目を落とした。
嘘だった。本当は何を頼むか、ずっと前から決めていた。ただ、私の決意が固まっていないだけ。まだ……ほんの少し、迷っている。
メニュー表を前に、真剣に悩む兄の顔を盗み見る。
パッと顔をあげたアカイトと、目が合った。
少し驚いたように、パチクリと瞬きする。
太陽みたいな、暖かな赤色の瞳。
――ずっと見つめていたいって思った。
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