❤️🧡 『変化と不安と耐久と〜妖ver』大山の茂みのその奥の、鬼の屋敷の大広間。
どんちゃん騒ぎの大宴会。
大鬼と九尾の元に集まりしは百を超える妖共。
飲めやあかせや百の酒。歌えや歌え千の歌。
やんや、やんやと大盛り上がりだった夜も次第にふけていき、酒の気配は残しつつしだいにしとやかな空気が漂い始める。
「……。」
居間に居りますは一匹の鬼。
宴会から早くに引っ込んだあと、ずっと悩ましげに床をにらめつけている。
「……。わざわざこんなに数を集めたというのに、あいつに懸想していたのはこんなに小さな妖か。」
いかにも気に入らん。と言いたげに、鬼はカツンカツンと爪先を文机で打ち鳴らす。
「なぁ…?」
鬼の見つめる先に握り拳ほどの未熟な妖が一人
まだ発生したばかりで存在があやふやなその妖は、まだ鬼に返答する術を持たない。
3396