待てば海路「ごめんねクロエ。野宿になってしまって」
「えっと大丈夫。初めてだけど、ラスティカと一緒だし……」
到着した街の宿泊施設がほぼ満室で、唯一空いていたのが地下牢モチーフの部屋だった。
暗くて、寒くて、不気味で。海辺の街だったこともあり、じめっとしている。どうしても「ここに泊まりたくない」と思ってしまった。ラスティカはそれをわかってくれて、だけど他に泊まるところも見つからなくて。結局野宿になった。
野宿は野宿で怖かったけど。ラスティカがぎゅっと手を握って「寒くないようにするからね」と言ってくれた。
そして今、二人で場所を決めてラスティカが準備をしてくれている。
「星が綺麗だよ、クロエ。この様子なら明日も晴れそうだ」
5633