いちばん星 見つけた サボらずに最終時限まで出席した日、放課後が訪れると二条遥は決まって誰よりも早く教室を出る。
モタモタしていれば、違うクラスの弟・奏が『一緒に帰ろう』なんて気色の悪い言葉とともに押しかけて来るのが分かりきっているからだ。
奏のクラスの前を避けて、足早に昇降口へと向かう。その頃には愛用のヘッドホンで周りの声も音も遮断してしまうけれど、遥には連れ立って歩く友人はおろか挨拶を交わすような相手もいない。だから別に不便だと思ったことはなかった。
学校を出たら真っすぐシェアハウスに帰って部屋に籠るか、遅くまで寄り道をするのが習慣になっている。あるいは気乗りしない単発のバイトを入れる日もあり、これらは全て奏と顔を合わせる時間を極力少なくするのが目的だ。
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