Night and Day. 真っ青な大空が地の果てまで続いている。遥か遠くにある荒々しい岩肌を持つ山々が、大空に喰らいつくように、剣を天に衝き立てたような稜線を重ねていた。昼を過ぎて傾いた太陽の光が、雄麗な山脈を白く光らせている。尾根を境目に、影絵のように片方の面が、黒く塗りつぶされていて、稜線を重ねたいくつもの山が、一枚の黒い大きな岩のようにも見えた。
晶は、雄大な景色を見渡しながら、この山の一部になるような気持ちで、大きく息を吸った。草の香りを多く含んだ空気は瑞々しく、身体が満たされていく。あまり、元の世界では身近になかった空気だった。
「賢者!」
澄んだ空気を、楽しげな声が伝ってくる。
晶は、山脈から視線を外して振り返った。短い草が生えた急な斜面を、運搬用のそりに乗って、ものすごいスピードで滑り降りているシノが、手を振っている。
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