アフタヌーンティーでもどう?と日和くんに誘われて、久方ぶりに門をくぐった巴家のガゼボでクロスを敷いたテーブルにバスケットを広げた。お抱えのシェフが作ってくれたサンドウィッチとスコーン、それからレモンや桃のタルトやマカロン。二人でお茶をするときに私が大好きなチョコレートの小さなパフェが入っているのは日和くんのスマートな気遣いだ。可愛らしくてきらきらしたスイーツたち。小さいながらもデザインも凝っていて見ているだけでも飽きないそれは食べるのが勿体無く感じるほどだ。
「ふられちゃった」
日和くんが紅茶を淹れながら静かにそう呟いた。ふわりとフルーツの甘い香りが漂う。さっぱりとして瑞々しいそれは、初夏の陽気にぴったりだ。
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