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    あまや

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    あまや

    TRAINING習作/凪茨(主人公ジュン、下二人メイン)
    ⚠︎パラレル。アイドルしてません
    三人称の練習兼、夏っぽいネタ(ホラー)(詐欺)

    登場人物
    ジュン…幽霊が見える。怖がり
    茨…ジュンの友達。見えない。人外に好かれやすい
    おひいさん…ジュンの知り合い。祓う力がある(※今回は出てきません)
    閣下…茨の保護者
    三連休明けの学校ほど億劫なものはない。期末テストも終わりあとは終業式を残すのみではあるのだが、その数日さえ惜しいほど休暇を待ち遠しく思うのは高校生なら皆そうだろう。ジュンはそんなことを思いながら今日もじりじりと肌を焼く太陽の下、自転車で通学路を進んでいた。休みになれば早起きも、この茹だるような暑さからも解放される。これほど喜ばしいことはない。
    「はよざいまーす」
    所定の駐輪場に止め校舎へ向かっていると、目の前によく知った背中が現れた。ぽん、と肩を叩き彼の顔を覗き込むとそれは三連休の前に見た七種茨の顔とはすっかり変わっていた。
    「ひええ!?」
    「ひとの顔を見てそうそう失礼な人ですね」
    不機嫌そうな声と共にジュンを振り返ったのはおそらく七種茨であろう人物だった。特徴的な髪色と同じくらいの背丈からまず間違いなくそうだろうと思い声をかけたのだから、振り返った顔はジュンのよく知るメガネをかけた、男にしては少し可愛げのある顔のはずだった。が、見えなかったのだ。間違った文字をボールペンでぐるぐると消すように、茨の顔は黒い線でぐるぐる塗りつぶされていた。
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    あまや

    DONESSS/凪茨
    冷食の話
    仕事が終わるまで待っているとおっしゃるので閣下をリフレッシュスペースにご案内し、飲み物と本を何冊か準備してから自席へ戻った。そう長くはかからない量であったが、閣下をお待たせしている以上早く終わらせるに越したことはない。メールを片付け、企画書の最終チェックと人事関係の書類に目を通す。返ってきたメールに再度返信して、スケジュールを一部調整する。最後にいくつか電話をかけて一通り急ぎの仕事を終わらせた。あとは夜自室で片付けよう。書類作りならパソコンがあればどこでもできる。俺は荷物をまとめ、残っている職員に声をかけてから閣下の元へ向かった。
    管理職の席が近いとリラックスできないだろうとリフレッシュスペースは俺の席から一番離れたところにある。ソファからはみ出た銀色の頭が上を向いていて、閣下がテレビを見ているのが遠目にも見てとれた。この時間帯にはよくあるランキング番組のようだ。ひな壇芸人の笑い声がかすかにここまで届いた。読書に飽きたか、それとも全て読み終わってしまったか。時間をかけたつもりはなかったけれど一言詫びを入れなければ。俺はソファを迂回して閣下の視界に入る位置までやってきて、お決まりの敬礼ポーズをとった。
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    あまや

    PASTSSS/凪茨
    ⚠︎死ネタ
    ※南極ネタなのにシロクマが出てくるので齟齬が気になる方は読まない方が良いです〜
    アホ〜!と書いてから思いました

    初出 22.11.21
    閣下は一年間アイドル活動を休業して、昭和基地に行った。勝手に。いつのまにか上層部が休業を認めており、いつのまにか手続きも終わっていて、俺が知らされたのは記者発表の当日だった。茨に言うと絶対止められるからとかなんとか言い訳をしながらごめんねなんて軽く謝罪をして会見に出ていく閣下の背中を俺は呆然と見つめていた。Eveの二人はもちろん知らされていて、呆気に取られた俺をジュンが気の毒そうな顔で見ていた。ムカつくので足を思いっきり踏んづけてやったら殿下に叱られた。でも仕方ない、聞いていて黙っていたのだからそっちが悪いだろう、なんて。俺は子どものような言い訳を頭の中で挙げ連ねて謝らなかった。それよりも何よりも、仮に一年間の休業はまだいいとしても、昭和基地ってなんだ。何しに行くのかさっぱりわからない。研究者にでもなったつもりなのか? 凍傷にでもなって閣下の美しい肢が損なわれでもしたらどうするんだとか、腹をすかせたシロクマに襲われないかとか、何かトラブルがあってライフラインが途絶えて死んでしまわないかとか、とにかく心配ごとが次から次に浮かんでくる。あの好奇心に素直で奔放な閣下が南極が危険だからと自身をセーブできるとはとても考えられない。誰が彼の手綱を引いてくれるというのか。それは俺にだけ許された特権なのだから、つまり閣下のいるべき場所は俺の隣以外にはないということだ。南極になんか死んでも行かせたくない。
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    あまや

    DOODLESSS/凪茨
    ⚠︎死ネタ

    タイトルはカットした部分から
    >>フィルム映画だったら良かった。そうすれば映写機の中で擦り切れて燃えて灰になるまでこの映像を見切ったら終わりが来る。けれど自分の手でスマホの削除ボタンを押すには少しだけ俺には勇気が足りなかった。<<
    フィルム映画だったらよかった映像はたくさん残っている。ライブ映像、ドラマやバラエティ番組の録画、インタビュー。プライベートで保存しているサークル活動の映像や、それこそEdenの四人で出かけた際の映像なんかもある。それでもいつも見返してしまうのは、無音の、白黒の、閣下が微笑んでいるだけのほんの十秒にも満たない動画だ。
    その日は雪が降っていて、閣下はそれが心底嬉しかったらしくビデオに収めようと俺に提案した。そのまま雪原と化した中庭に走り出すものだから俺は慌ててスマホのカメラを起動してビデオ撮影を始めた。指が滑ってモノクロになってしまい、失敗したと気づいてすぐに撮り直した。その撮り直す前の映像がこれだ。
    一面真っ白な中にまぎれそうな閣下の背中。銀の髪の毛とグレーのコートのせいで背景と同化しかけていた閣下が、くるりと振り返る。俺がカメラをきちんと構えていることを見とって、にこりと、無邪気に笑う。ただそれだけの、何の変哲もない動画。
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    あまや

    DONESSS/凪茨
    茨がリップクリームを変えた話
    おいしくなあれ閣下の肌に触れるもの、血肉になるもの、身につけるあらゆるものは彼を最も引き立て、その魅力を引き出し、飾るに相応しい最上のものでなくてはならないと思っている。化粧水ひとつとってもそうで、その辺のドラッグストアで売っている数百円のものなんて絶対につけさせてはいけない。メーカー、成分、効能、あらゆるチェックを行って選んだ一品を閣下には提供している。感覚がまだ幼いのか超高級歯磨き粉を突き返されて「……おいしくない」と悲しげな顔で訴えられた時は流石に焦ったが、ネットを駆使してなんとか閣下の意向に沿うものを入手することができた。頼むから閣下の舌が大人になるまで絶対に廃盤になんてならないで欲しい。
    対照的に自分の身につけるものにはあまりこだわりがなかった。流石に経営者として責任ある立場にあるので、公の場ではTPOに相応しいスーツを着たり、それなりに根の張る小物を見繕ったりはしているが、だからといってそこまでハイブランド志向なわけでもない。学生アイドルである以上、あまり年齢不相応に高級なものを身につけているのは逆に印象が悪くなる。もともと上流階級の上二人ならともかく、自分とジュンはどちらかというと親しみやすさがウリな面もあり、手を伸ばせば届きそうな範囲を意識しているということもあった。実際SNSでも高級ランチよりファストフードを囲んでいる自分とジュンの写真の方がウケが良かったし、そういう庶民派な中に突然高級ブランドのアンバサダー決定、なんて投稿をすると普段とのギャップでさらに話題を呼んだりした。
    1908

    あまや

    DOODLESSS/凪茨
    閣下と茨とホットケーキ
    寮に戻ると玄関先まで甘い匂いが漂ってきていた。すでに夕飯時を過ぎているのにこんな時間から甘いものを食べるなんてあり得ないなと思う反面、ここ最近で最も精神的に堪える商談を終え疲弊した脳が糖分を欲しているのを感じた。
    「あ、茨おかえり」
    まさか殿下などが自分の居ぬ間にこっそり間食をしようとしているのではあるまいなと念のため共有キッチンに顔を出すと、なんと閣下がホットケーキを焼いている最中だった。エプロンをつけて束ねた髪をさらにクリップで留めている姿は大変衛生的で料理をする人間としては大正解であったが、あまりにも庶民的なその姿にすでに疲労困憊だった脳のヒューズが飛ぶかと思った。今の俺には負荷が大きすぎる。駄目だろう、乱凪砂がホットケーキを焼いてるなんて。高圧的な男性性を売りにしているAdamの乱凪砂が、かわいいエプロンでホットケーキ。イメージとギャップがあり過ぎておかしいだろ。いやまてよ、料理男子は世の女性からは好意的に受け取られる傾向が強いのだから悪くはないのか。いやいや、絆されるなそれはイメージ戦略と真逆の方向性だ。良くない、全くもって良くない。だいたいあのファンシーなエプロンはどこから持ってきたんだ。誰だ貸し与えたやつ、絶対許さない。
    1925

    あまや

    REHABILISSS/凪砂の朝
    ⚠︎年齢操作(詳細は出ませんが20↑)、寮は出てる、死ネタ
    ※タイトルは最果タヒさんの詩より
    きみが、死んでも残る花「茨おはよう」

    私の日課は朝起きてリビングの茨に声をかけるところから始まる。
    コーヒーを淹れてまだぼんやりしている頭をスッキリさせたら朝食の準備だ。
    朝は和食がいいと茨が言っていたからご飯とお味噌汁。いつもなら昨日の夕飯の残りを食べるけれど昨日は外食だったから目玉焼きとウインナーを焼いた。もうちょっと食べたいなと思ってサラダとヨーグルトを追加した。4個パックのいちご味。果肉がごろごろ入っていて美味しい。ジュンのおすすめだ。
    和食には緑茶だからコーヒーを飲み干して緑茶を淹れ直す。見栄えにはそこまで興味がなかったけれど、朝ごはんを食べたよとSNSに上げるようになってからランチョンマットやお皿、箸置きにまでちょっとこだわるようになった。美濃とか有田とか、陶器自体には昔から興味があったので、いざ収集し始めると大変なことになってしまった。棚に入らない分は棚の中を空けてから買い足してくださいね、と茨が怒っていたので知り合いにあげたりよく検討して購入するようになったのは成長だろう。
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