ひまわりが咲いた日のはなし 何気ない毎日の中に特別なことを見出すのは楽しい。日常に不満はないし、いつだって自分らしく好きなように生きているけれど、それとこれとは違うのだ。
「ジュンくんジュンくん!」
お目当ての人物を見つけ、知らず声が弾む。おかげで常よりも二割り増しになった声量に振り返ったジュンの顔は、隠すことのない呆れの色で染まっていた。
「何すかおひいさん。つうか声おっきいっすよ……」
まだ寝てる人だっているんだから、などと放っておいたらいつまでも小言を紡ぎそうな相棒の口を手で塞ぐ。言葉で制するより前に手が出てしまったのは、思ったより気が逸っているからかもしれない。とにかく話を聞いて欲しかった。ジュンもすぐに察したようで、むぐむぐと動かしていた口を閉じてくれた。いい子。
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