百害あって一利なし アルフェンは通勤鞄と普段通りの帰りがけに寄ったスーパーの袋の他に、紙袋の手提げを抱えてジルファの部屋へ帰宅した。合鍵を外套のポケットにしまい、荷物を玄関に放り投げてジルファに叱られる。
「荷物を投げ捨てるな」
「捨ててない。置いたんだ、そんなつもりはなかった」
ジルファの用意した夕飯の鍋から良い匂いがする。空腹を思い出したが、ビールを冷やす方を優先して冷蔵庫を開けた。外套を掛け、手洗いを済まし、荷解きをしたはずのアルフェンがいつまで経っても来ないのでジルファが玄関へ様子を見に行くと、紙袋から包装紙の掛けられた箱を片手に突っ立っていた。
「どうした、そいつは。土産か?」
アルフェンはどうしたものかと箱を眺めて、台所のシンクへ腰を預けた。飲むために冷蔵庫から出したと思われる缶チューハイも手付かずで置かれている。
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