その日ミルメコレオに訪れたのは依頼報告のためだった。以前の世界でも同じ用事で何度か訪れたことのある場所だが、ポーンであった私は自ら足を踏み入れたことはなく、マスターを見送りそして帰りを待つだけの場所だ。
で、あるから、出入り口の正面にて私の帰りを待っていた私のマスター(今は私のポーンである。紛らわしいことだが。)の様子がどこかおかしいと気付いたものの、その理由にはとんと心当たりが浮かばなかった。
どうされたのだろう……。見当はつかないがその状態を放置しようとは思えない。ポーンに本来意思はないはずだが、例外があるというのは己の芽生えによって理解していたし、何よりマスターのお心が乱れているのならば然りと理解して差し上げたい。そう強く思ったからだ。
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