無期限の恋人 ランスと心を通わせたあの日から何日か経った今でも、まだ夢なんじゃないかと思ってしまう。だって、ずっと好いていた男が自分のことを好きになってくれていたなんて俄かには信じ難い。あまりにも自分に都合が良すぎて、全部オレの勝手な妄想だと言われたほうがまだ現実味がある。朝起きる度に、カレンダーの日付と隣で眠る愛おしい恋人の寝顔を見て、夢ではなかったのだと馬鹿みたいに安堵する。
仕方ないだろう。ランスの気持ちを知るまでの日々は散々だったのだ。最初の一ヵ月は、ランスがあまりにも純粋にドットに身を委ねるから触れるのがかえって躊躇われた。その癖、どこから手に入れたのかわからない知識に基づいて、キスだのなんだのを持ち掛けてくるのだから堪ったもんじゃない。好きだと伝えて、ひた隠しにしてきた想いも全部伝えて、嫌われて関係も全部壊してしまいたいと、何度自棄になりかけたことだろう。
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