凛の幸せ胸熱も夜梔影もまだ楽しそうに話している。
水を差すのはよくない……いいや、二人が楽しそうに話してる声を音として聞くのが心地いい。
と、すっかり酒の回った百目鬼は机に突っ伏しながら思った。
うつらうつら、とゆっくりと瞬きをしているのを見るに意識を手放すのも時間の問題だと分かる。
二人は適当に声をかけるのだが、こうなった百目鬼は
「はいはい、しゅきらしゅきら」
と噛み合ってない返答をするだけだった。
言葉をしっかりと認識できなくなってただ楽しい音として、胸熱や夜梔影、そして周囲の環境音と人々の賑わいを聞く。
そしてそれに囲まれながら眠る。
そのことが幼い自分には想像もできない、贅沢すぎる幸せだと凛は思った。
そして寝言のふりをして
394