初めてのひと 彼との出会いは、俺がグールの使役を覚えたばかりの頃。
召喚したグールを連れてマナーを破り、悪い事をして遊び回っていた俺のもとにやってきた退治人が彼だった。
最初こそ、図体ばかり大きくてオロオロとしてるだけのこんな人間なんて怖くないと思っていたのに。
堪忍袋の緒が切れた彼に屈服させられた際に、俺はどうにかなってしまったのだろう。
恐怖――あるいは畏怖による心臓の高鳴りを好意由来のものと勘違いしてしまう、いわゆる吊り橋効果だったのかもしれないけれど。
ただ分かることは、まさしくあの日、あの時。
俺は彼に対して、並々ならぬ興味を抱いてしまったのだということである。
そんな衝撃的な出会い以降は、事あるごとに彼のもとを訪ねては自分を舎弟にしてくれと言い続けた。
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