ロマンスに牙を剥く──────────────────
華々しさなんて無くていい。
気を張る相手でもなし、良いところを見せたいわけでもなし。
適当に声をかけて、都合が良ければ集まって飲んで、楽しくやって、それだけの関係だったのに。
それがどうしてこんなことに。
「……さいあくや」
二日酔いで痛む頭が現実を見せてくる。
何度も借りた布団の中、隣で寝息を立てる男を見る。
普段の神経質そうな表情も眠っていればあどけなく、可愛らしいものだと眺めたのも初めてじゃない。
しかし、これは良くない。今日ばかりは本当に良くない。
二人して素っ裸なのは流石に初めてのことだ。
きっと吐いてしまったから脱いだのだろう、なんて理由付けも出来やしない。
だって俺にはしっかりと記憶がある。
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