仮面の君に、百面相 2話目 (途中)「あぁ…、ゔぅうっ……、あぁあ………っ、」
「どうして……どうして……っ…………」
彼は手を前に伸ばしたまま、依然として泣き続ける。目前にあるものがどうしても掴めないと、そんな風に。
涙でぐしょぐしょになった彼の顔をちらりと覗けば、悔恨の情と哀傷が滲んでいた。
私はどうしていいか分からず、泣きじゃくる彼を呆然と眺めていた。
しばらくして、彼はこちらに気がついたのか、
ふ、と彼は顔をあげ、くるりとこちらを向いた。
咄嗟に落としていた表情を作り直し、彼に問いかける。
「大丈夫ですか?」
すると突然、彼は花のような笑顔を咲かせて言った。
「嗚呼すみません!不安にさせてしまっただろうか…………。
実はオレ、ショーのキャストをやっている者でして、今はそのショーの練習を…………って朝比奈さんではないか!?久しぶりだな!シブフェス以来だったか?!」
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