馴れ初めのスナフキンは、いつもとは違う、少し遠くの川で釣りをしていた。ただの気まぐれだった。川辺に腰を下ろし、気の向くまま糸を垂らす。
日が傾く頃、ウグイを五匹釣り上げ、満足げに釣竿を肩にかける。そして、いつものように自分のテントへと帰ってきたその時だった。
入口の端から、棒のようなものがぴょろりと見えている。釣竿は手に持っているし、他に持ち物はほとんどない。ならば、その突き出た棒は自分のものではない。
近づいてよく見れば、それは虎の尻尾だった。毛並みは夕陽を受けて淡く光り、その節々には金や銀の輪がはめられている。まるで小さな指輪のようだ。
その尻尾の根元。つまり尻も、入り口の幕から少し覗いている。どうやら誰かが、半身を突っ込んでテントの中を物色しているらしい。
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