supisupinemuri 割りたもの作品置き場・密接 (new!)・現世の夜花・silver youth・Lupin in love ☆quiet follow Yell with Emoji POIPOI 4
supisupinemuriDONE人魚💉を浴室に住まわせている🐴のお話密接 ガチャリとセキュリティの高い玄関の扉を開ける。 少し警戒をしながら部屋の中へ滑り込むと、左馬刻は靴を脱いで暗い廊下に漏れる明かりの部屋へと進んだ。 「寂雷、ただいま」 「おかえりなさい、左馬刻くん。今日は遅かったね」 低く、穏やかな声が耳に届いた。 ここ数ヶ月、左馬刻が帰宅して最初に向かうのは浴室だっだ。 スモーク硝子の扉を開けて中を見やると、浴槽の水だまりに浸かった髪の長い男が、パシャリと水面を打つ音と共に顔を上げる。浴槽にゆったりと身を委ねたその男の上半身は裸であった。しかし下半身はおよそ自分と同じ人間の姿形では無かった。 鱗だ。 普通のサイズじゃくつろげないと特注で作らせた浴槽を埋めつくすように、無数の魚の鱗が彼の下半身を艶めかしく色を変えては揺れている。 7852 supisupinemuriDONE夏祭りの夜に神社で会うお話。パラレル世界線+特殊設定の左寂。現世の夜花――ヒュウ……! ドォン!と背後の空に大輪の花火が打ち上がった。 ちゃぷりと波打つバケツを片手に持った左馬刻は、カラカラと下駄を鳴らしながら迷いなく夜の参道を進んで行く。先程まであった提灯の煌めきも、楽しげな祭りの喧騒も、生い茂る木々に吸い込まれて徐々に遠のいていった。 だんだんと見えてくる灯籠の朧げな灯りに、ニ匹の狛犬が浮き上がってくる。一旦立ち止まり、左馬刻を見定めるように見下ろすニ匹にちろりと視線をやって、間を抜ける。そのままゆっくりと頭上に構える鳥居の門を仰いだ。 夜空に花火の上がる音だけが、この境内に響いている。次々と打ち上がる華やかな花火たちに心を奪われて、人々は通りの隅にあるこの神社のことなど忘れ去っているのだ。 4441 supisupinemuriDONE付き合っている左寂で、髪を乾かしあうお話。先生の白い髪を見つけるお話です。髪のお話→silver youthに改題 (某名曲の歌詞、silver girlに因んで)マンスリー左寂お題企画様 2022年6月お題「髪」よりsilver youth 暖かい風に吹かれる髪を一房、手にとっては落とし、また一房手にとっては落としていく。 「左馬刻くん、腕疲れないかい?」 「……おー」 集中しているのか、どこか空返事のような声がゴォォ…と吹き出す風の音に乗って聞こえた。 「このくらいで大丈夫だよ。後でまた自分でやるから。それより君の髪、まだ濡れてるよ」 「……ン」 二人で浸かっていた湯船から上がると、気まぐれのように寂雷の髪を乾かしたいと言った左馬刻は、ドライヤー開始から十五分ほど経っても未だ飽きる事なく、長い長い寂雷の髪を乾かし続けている。当の本人はというと、寂雷に比べ自分のはすぐ乾くと言って、洗い立ての犬の様に風呂場でぶるぶると頭を振った後、置いてあったタオルで乱暴に拭いただけであった。左馬刻が腕を動かすと、ふいにタオルに吸収されなかったままの雫が肩に跳ねて、寂雷は少しくすぐったく思う。 1926 supisupinemuriDONE左馬刻の事務所から物がなくなる話。オメガバース🐴α/💉Ωオメガバ要素はほぼ巣作り設定のみLupin in love 事務所の金庫の鍵が無い!と、バタバタと部下達が事務所の廊下を走る音が響く。 またか、一体どうなってるんだと半ば悲鳴の様な声に一瞬、左馬刻の口に笑みが浮かんだ。 ここ約1週間の間、火貂組の事務所では奇妙な窃盗事件が起き続けている。 今見渡している部屋もソファやテーブルなどの大物は残っているが、大体の備品は持ち去られており殺風景な景色が広がっていた。犯人が持っていく物は事務所のものであれば何でも良い様で、どんなにセキュリティをかけていても事務所内に存在するものであれば跡形も無く消える。犯人の動向がまったく読めない謎の事件に、部下達はアレも無いコレも無いと毎日騒ぎ立てているのだった。 そんな緊急事態に特段動揺する素振りも無くどかりとソファに座ったままの左馬刻は、シャツのポケットから煙草を取り出す。そして愛用のライターではなくマッチで火を点けた。 4724 1