紅い雪幻1「ここ‥どこだよ‥」
――見渡す限りの雪景色。
パンドロは周りを見渡して何も見当たらずにただ広がる真っ白な銀世界に思わず呆然と絶望に塗れた声を漏らしていた。
曇った暗い空には星も見えず、強い風によって斜めに降り注ぐ大粒の雪がパンドロに容赦なく襲い掛かる。
ソラネルで過ごしている普段着のまま、あまりにも薄着で突然雪の世界に放り出されたパンドロは剥き出しになった腕を擦りながら取り敢えずこの吹雪を凌げる場所がないか探さなければ命に関わると思い、沈み込む足を懸命に動かして雪の中を震えながら歩き出した。
けれども歩いても歩いても景色が変わることも無く同じ様な景色の広がるその光景にパンドロは危機感を募らせながらもこんな所で死ぬわけにはいかないと懸命に降り積もる雪の中、歩を進めた。
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