嫉妬と足癖──ダァンッ!
背にした壁の足元から、鈍い音がした。
一瞬なにが起こったのか分からなくて、おそるおそる、音の発生源に目をやる。
僕より少しだけ背の高い、年上の恋人。
いつも被っているキャップの鍔で、表情は見えない。ただ俯いて、何も言わない。
だから、遠慮がちに声をかけてみる。
「……ねえロッキー、この足、何?」
顔を上げると、琥珀色の瞳と目が合った。
いつもは優しげな顔をしているくせに、今日は少し様子がおかしい。
真顔を作ってはいるけれど、どこか不服そうな色を滲ませている。
「さっきは随分、楽しそうでありましたね」
ようやく出てきた一言に、思案を巡らせる。
多分、あれのことだ。
ついさっき、ロッキーとビーチで待ち合わせする、少し前。
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