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何もない空を見て安らぐと言った、ティアの横顔が忘れられない。
その言葉を聞いたとき、ルックの全てを占めたのは悲しみだった。何もない空を見上げて寂しいと感じていたからだ。相反する感想は、気持ちの共有ができないことを知る瞬間でもあった。
何事も一緒でいたいと思うことは不思議なことではない。その相手が、愛おしくて堪らない存在であれば尚更だ。
住む場所や周りの人間関係が異なれば、それは互いが思いもよらない思考回路を持っていたとしても不思議ではないし、ルックとティアが別の存在であるように、考え方が異なるのは当たり前だ。
脳が違うからだ。二人の人間にはそれぞれ一つの脳があって、いくら愛し合ってもその脳を二人が共有して生活することはできない。
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