こぼれた雫のすくい方②「わるい…」
縋るように掴んでいた手を離して、武道から離れる。
「ダセェなオレ」
「そんなことないっス」
俯いたまま自嘲気味に笑う。あまりに情けなくて、武道の顔をまっすぐ見ることができない。でも、泣いたせいか少し気持ちがすっきりした気がする。
「あの…イヌピー君」
「なんだ」
どういう理由かは知らないが、このまま貫くというなら今は受け入れよう。今日はひどく疲れた。今から問い詰める気力もないし、答えを聞いて理解できる自信もない。
「ここで一緒に住んでるんですよね?なら、オレ今日はどっか他所行きます」
「は?」
武道からの突然の提案に思わず顔を上げる。
「ちょっと状況を整理したいっていうか。話し合うならそれからの方がいいと思うんスよ」
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