護衛と一般市民いつだって僕は、どうにも順調って言葉には程遠い。
走れば転び、運べば落とし、挙句の果てには大失敗。
「ぎゃー!」
「うわ、すみません!」
「どわぁ!?」
「ひゃあ! ごめんね!」
叫び声と僕の謝罪がセットのようにこだまする、そんなの日常茶飯事。
ここぞというときに限って益々威力を発揮するソレは、僕の意志に関わらず年中無休でやってくる。
出世とか脚光を浴びるとか、全て遠い世界の出来事。配管工として何とか働けてはいるものの、精々が町の片隅でひっそりと暮らすくらいの塩梅だ。
僕ってやつはそういうのが当たり前で、人の倍頑張ってようやくやっと一人前。
──だからそう、こんなのは慣れっこなんだ。
「ぎゃあ!」
叫び声と共に、白と黄色のキノコ頭が宙に舞う。一緒に飛ぶ、ひっくり返った果物籠。
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