約束の場所恐らくこの景色をヒトは美しいと呼ぶのだろう。
なのにボクの心は1ミリも動かない。
空があって、花が咲いている。
その情報が視覚から入ってくる、ただそれだけ。
花も手入れされたものでは無く、街中でも見かける雑草と呼ばれるものだ。
「おにーさん!」
「……何?」
「はいっ!」
「……。」
差し出された花を受け取る。
この辺りに腐るほどある花だ。
手渡された花を手にキミに手を引かれ歩く。
「わぁ〜!キレイ!」
「……。」
ちょうど花が群生してる真ん中辺りだ。
キミは服が汚れるのも気にせずその場で仰向けに寝転がる。
キミの顔が花に埋もれる。
キミの横に腰を降ろし、手にある花をクルクルと回して眺める。
沢山のこの花がキミの下敷きになっているというのにキミは嬉しそうに笑っている。
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