おいてけぼりアリスうさぎの衣装に身を包んで笑ってポーズをとる友人たちの写真にハートをひとつ送ると、エースはスマホを雑に放った。
ここはハーツラビュル寮の一室、1年生の4人部屋。バスケ部の練習試合から帰ったエースは、自身のベッドに仰向けに寝転んでいた。
いつもなら翌日が休みなことにワクワクしているはずの土曜の夕方、今のエースの気分を表すならば、つまんない、の一言に尽きた。なぜって、いつもいっしょのマブたちが、おでかけしてしまったから……エースだけをおいてけぼりにして。
デュースの故郷の時計の街で開かれるホワイトラビット・フェス。週末を使って彼が帰省することは、エースだって前から知っていた。でも、監督生たちもいっしょに遊びに行くなんて、聞いてない。決して、自分もあの衣装が着たかったわけじゃないし、お祭りといっても小さな街のそれにそこまで行ってみたかったわけじゃない。そもそも、エースは今日の練習試合に準レギュラーでベンチ入りが決まっていたから、誘ってもらっても結局は行けなかった。
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