地獄の記録を見た。
魑魅魍魎蠢く京の都。
城に捕えられた少女と黒い狩衣に身を包んだ己の姿。
苦悶の表情を浮かべる少女を組み伏し、その体を貪る。
「いくら耐えても助けは来ませんぞ。諦めて快楽に身を委ねてはいかがです?」
少女の目に熱い光が宿る。
「助けは来る!」
そして本当に助けは来た。
空想の樹は伐採され、悪は一刀両断。真っ二つ。
アルターエゴ・リンボを名乗った異星の神の使徒と人理保障機関カルデアの戦いの記録。
面白い。何よりこの娘に興味が湧いた。
自分を蹂躙した憎き相手が、倒したはずの敵が目の前に現れればどんな顔をするだろう。
そう思い座から縁を辿っていく。
「お初にお目にかかります。」
ここはカルデアの召喚サークル。
恭しく礼をするが目の前の少女は呆けた顔をしている。見たことのない白い礼装に身を包み、記録の印象よりも幾分か幼さの残る顔つきだった。
2154