ドッペルゲンガー、恋を知る。第三話 本丸の道場はすぐ埋まってしまうため、個人で素振りなどの鍛錬をする場合は大抵、本丸施設の外を使う。これは以前、一振り目の鶴丸もそうだと言っていた。積極的に手合わせをする相手を探すならば道場、そうでないのならそれ以外、というのは暗黙の了解のようだった。たまに、掲示板に模擬戦の予定が掲示されているので、もう少し力をつけられたら参加するのもいいかもしれない。
汗で木刀が滑る。あ、と思った隙に首筋に木刀が突きつけられた。これで今日は6対2。もちろん、鶴丸の負けである。くそ、と舌打ちして木刀を拾った。大倶利伽羅は手加減をしない。だから悔しさはあっても苦しさはない。
「木刀に慣れすぎるのもよくないかもしれない」
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