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    anokodonnako

    @anokodonnako

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    anokodonnako

    DOODLE
    9ギャダンサーパロダンサーパロ

    「デカくて、筋肉があって、髭が生えてなくて、強気なのがいい」
    「良い子がいますよ。どうぞ、これが鍵で、お部屋は601番です。すぐに向かわせますね。それじゃ楽しんで」

     心臓が震えるようなビートと、煌びやかな音楽が響いている。目の眩むような極彩色のネオンで彩られた店のカウンターで、ギャビンは店員にこう告げたのであった。ここはアンドロイドも人間もいるクラブで、それなりにクリーンな営業を行っている。ただし、ちょっとした裏メニューがあることを除いては。

    「またこの部屋かよ。空調壊れてんだったら早く直せよな……」

     ギャビンはブツブツと文句を言いながら、店の奥にある廊下で扉に張り付けられたナンバープレートを見上げた。扉は少し古びて、プレートの文字が一部禿げている。この店は夜な夜な客が集まっては、刺激的なパフォーマンスを楽しんだり、酒を飲んだり、踊ったり、はたまた客同士で会話したりといった場所だった。働いている者は人間も多いが、一定数アンドロイドもいる。店員の感じが悪くなく比較的客層もマシで、ギャビンにとっては都合の良い場所だった。何より、店にアンドロイドがいることを公言していない。表向きはナイトクラブという体裁をとっていたが、キャストの時間を買うことができるシステムがあるのはもはや常連客にとって周知の事実だった。
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