とある日の彼と彼女の会話「なぜ、ネリネなのですか」
雪風の舞うバトルコートの片隅で、ネリネはカキツバタに問いかけた。
二人は既に試合を終えていて、コートを囲ったギャラリーたちは、今や散り散りになっていた。
数日前の放課後。リーグ部の部室で、カキツバタはネリネに対しバトルの相手をして欲しい、と願い出ていた。他の部員とやりとりを終えた彼女を呼び止め、机に全信頼を置いたポーズで見つめる。到底、人にものを頼む態度とは言えない。
ネリネはカキツバタのだらけた姿を一瞥すると、「今日は予定があるので……」と一度は断ったが、暫く黙り込んだのち、別日を指定した。
ネリネの提案に、二つ返事で了承したカキツバタは、部室にも関わらずそのままの体勢で堂々と寝入っていった。
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