おもいおもわれふりふられ 閣下は日和殿下を愛してらっしゃる。
見ていればわかった。
向けられる目線も触れ合う仕草も何もかも他とは違う、ああそれは特別な感情なんだな、と愛を知らない俺でもわかった。その熱を近くで見ていると、これが恋なんだと教えられる。教えられてしまった。多分俺は閣下を同じように見ていて、だから知ったと同時に失恋した。そうなんだ、この、もどかしい感情が、恋。
まあしょうがない、最低野郎の俺だし。初恋は叶わないらしいから。
恋とは相手の幸福を願うことらしい。だから俺は閣下に幸せになって欲しいと思う。閣下の恋が叶うといいなと思いながら、殿下との仕事を増やしたり、二人が一緒になれるよう配分したりしている。そうすると閣下は本当に嬉しそうにわらうから、よかったなぁと影で思っている。殿下は早くその恋に気がついて受け取ってくれればいいのにと思う、が、見ていてわかってしまった。
1893